おもんない夢

 断片的なシーンが組み合わさった夢だ。俺は剣道の試合の副審をしている。審判としての技術も何もないのに大丈夫なのかなあと思っていたが、とうとう試合は判定になってしまい、主審の隣まで行って赤と青の二本の旗を持ち、それぞれを14点満点で採点することになる。その採点の仕方がよく分からんのだが、3点ひと塊の動作で点数を表し、みんなで拍子を合わせて「1,2,3・・・」という風に旗を動かす。例えば「1」では旗を真上に持っていき、「2」はちょっと横に動かして傾け、「3」もちょっと傾ける。「4」になると一気に真横に動かして、「5」はまたちょっと下に、という具合。それでみんな「13対14」とかでつけてるのに、点数の相場をよく分かってなかった俺は「6対9」ぐらいでつけてしまい、ほとんど俺の判定だけで勝負が決まってしまった。しかしそれに対してブーイングが出るわけでもなかった。場面は転換して、俺はフィギアスケートの演技をする氷の上に居て、やべえと思っている。どうもオリンピックらしい。剣道ないけど。それで一番最初にはケニアの女の選手が演技を始めてしまっていて、俺はこんなところに居たら演技の妨害になるんじゃないかと思っている。ここで、世界は今、紀元50年ぐらいだということになっていて、電光掲示板みたいなものに「紀元50年何月何日」みたいな情報がディスプレイされていて、俺の周りにはたくさんの観光客みたいな人がいる。氷の上ではない。それで掲示板には「道交法がどうたら」と書いてあって、俺は「うわあ、こんな時代でも道交法とか普通にあるんだなあ」みたいなことを思い、昔といっても現代と何も変わらないんだね、俺、未来から来たんだけど、ほとんど一緒だよ、みたいなことを周りにいる人に言った。それでまた氷の上に居ることになって、選手が演技してるんだけど、真ん中の方に3台ぐらい、氷をツルツルにするためのコンバインみたいな乗り物がスイスイと走り回っている。「ああ、ああいうのも居るし、俺がここに居ても演技の妨害っていってもそこまで咎められはしないだろう」みたいなことを思い、「ほらやっぱり紀元50年でも、ああいう機械あるやん」と思っている。でもどうやらその機械の足はコロコロのついた椅子みたいになっていて、動力も機械的なものではなかったことから、その考えはにわかに怪しさを持つ。それでその機械に載ってるやつが俺のところまで来て「何やってんだ」と言われ、俺は「早くここから出た方がいいですよね、どうすればいいですか」のようなことを訊く。そしたら近くに扉があるのを指され「あそこから出ろ」と命令されたので、そこから出ることにする。入ると中はエレベーターみたいになっていて、もしかしたら競技の場に入り込むなんてのはものすごい「しでかし」であり、俺は、体よく抹殺されたのではないかと疑念を抱き始める。その不安を裏付けるように、エレベーターのドアの真ん中の隙間から、勢いよく水が吹き出した。どうなってんだ!と思ってドアを左右に押し広げると、出入口は滝みたいになっていて外の様子が見えない。しょうがないので突っ切ると、その先は叔父のマンションの入口だった。叔父の家まで歩いて行ってインターホンを押すと、かなり待たされてドアが開いた。やっと知ってる人に会えたと思ったら、なんか叔父がぐったりしているので、どうしたのか訊くと「俺はもう96歳なんや・・・」と言う。外見はむしろ若返っているのに。もしや時系列がおかしくなったからこんなことになったのではないかと思って「おっちゃん、何年生まれやっけ?」と訊くがもう叔父は眠ってしまったように返答をよこさない。これはまずいと思って奥の方に入っていくと、おかんが孫の手を持って鬼のような形相で現れて俺の方に突進してきた。逃げ回っていると、親父も何か分からんが凶器を持って突進してくる。しかしこっちには俺は対抗し、いつの間にか手にしていた孫の手でボッコボコに殴り、撲殺した。ああ全員敵や、と思って、叔父の部屋で隠れてパソコンのゲーム(エロゲではなく)をしていると、叔父がやって来て「お前、勝手にこの部屋をあさってゲームを出したのか」と言って、ちょうど中学校の先生がやるように、それきり無言でずっと俺のことを見つめている。俺はその間、何をすることもできない。叔父だけは信用していたのに、と思って、最悪やな、と思っている。
 起きてからびっくりするぐらい号泣して、それがしばらく続いた。トラウマっていうのは絶対にこれのことや、とか、これは間違いなくカタルシスだ、とか思っていた。今までもこういうのは何度かあるが、一番尾を引いた。せっかく夢を覚えてると思ったらこんな内容で残念だ。本来ならこういうしょうもないことを物語る必要はないのだがオートマティスムだから書いてしまった。やはり書きやすい。