煙草

 早々に行なわれたとある中間試験を終えてきた。A4一枚の片面だけを使ったカンニングペーパーが許されたので、例によって虫眼鏡が必要なぐらい小さな文字で覚える気のないことを大量に書き付けておいた。その甲斐あって、絶対不合格ではないと思う。やった〜。
 うちの大学はこの4月1日から敷地内全面禁煙になっているのだが、面白いのは、そうなった途端に学内のあちこちで喫煙している人を見かけるようになったことだ。建物の、あまり利用されない側の出入口、禁煙マークが描かれた貼り紙の真下でキャッキャ笑いながら煙草を吸っている人々。俺の場合、どうしているかというと、チャリをこいで外に出て人心地という感じで、帰りには、大学の敷地を出た瞬間に煙草に火をつけて、ちょうど吸い終わりぐらいに通りがかるサンクスの吸殻入れに捨てているという状況。非常に面倒で困ってしまいます。
 喫煙所が限定されていてそこでしか吸っちゃいけませんってなっている時は、みんなキチンとそこで吸っていた。しかし全面で禁じられると、そういうわけにはいかないので、じゃあどこでもいいやってなるのは、まあ考えの流れとしては自然ですよね。携帯灰皿を持っていない人は意外と多いらしく、また、吸殻を入れるところなど当然ないので、結構吸殻がその辺に散らばっている。これはひどい。吸わない側から見たら「あーあ、禁止されてるのに好き勝手に吸って、その辺にポイかよ。喫煙者ってやっぱ最悪な人種だな」と思うだろうよ。まあ、実際、やってることは最悪なんですけど、こうなりそうな気はしてたし、普通気づくと思われるし、気づかなくても前例がいっぱいあると思うんですよ。横浜駅なんかすごいことになってると聞いたぜ。
 ここで「モラル低いなオイ」と喫煙者を非難するのは正当なんだけど、そんなのはただの悪口に終わってしまって所によりケンカになるだけで、やめません。本当にやめさせたいのならもっと強い手段を取らないと意味がない。大衆を律することができるのは道徳かルールだけなのであって、吸殻のポイ捨てをしたら罰金とかの要するに人々がポイ捨てをしたくなくなるようなルールを作って抑制するか、道徳的にそれをやらないようなムードにするかしないとダメですよ。モラルに頼ろうっていっても、覚せい剤みたいに法的に禁じられているものじゃないんだから、なぜ吸ってはいけないのかと反発するわそりゃ。自由主義。車だっていきなり全面禁車ですっつって道路を全部封鎖したら、みんな車乗るのやめますかね。畦道でもガタガタ揺れながら無理に走る人が出てくるんじゃないですか。「車の排気ガスは人体や大気に有害だから、やめましょう」というモラルを浸透させようとしても無理でしょう。車がなくなったら経済に悪影響が出るといっても、仕事仲間と休憩中の煙草がきっかけで仲良くなったりするような効果があったりしてコミュニケーションツールとして機能することもあります。こういう共通のものを好んだり従事している人の間でコミュニケーションが促進されることをナントカというのだけど忘れてしまった。いやね、だから煙草と車が一緒だ!というんじゃないですよ。明らかにメリットの規模が違うし、使われている規模が違うんだから。車を規制なんて今の社会ではありえないでしょう。いやありえるかもしれないのが怖いところなのだけど・・・それはいいとして、規模の小さい何かから槍玉に上げて潰していこうという風潮はホント訳わからんけど最近の流行りで、割り箸、ビニール袋、紙、周りから固められているような気がするよ。段々とテレビ、小説、マンガ、となっていけば車もいずれ毒牙にかけられそうだなぁ。どこのアホがこんなこと推し進めてるんでしょうね。結構、答えは明白。「〜〜団体」とか「〜〜会」というやつですね。
 まあそんなものは言っても変わるわけではないので、うっとうしいなあと留めておくしかないのだが、全面禁煙で吸殻まみれの吸いまくりはお粗末ですよね。大学の禁煙化の公式ページ見たけど、ほとんど誰の意見も聞いてませんしね。いきなり「ハイ、禁煙化です」って決めたわけですから。モラルもへったくれもない。俺が吸うとか吸わないとかじゃなくて、無理がある。なんでこんなことをしたのかっていうと、たぶん、パフォーマンスなんでしょうねえ。そういう制度を導入しています、という。だって、売店に思いっきり煙草の自販機あるんですよ(笑)。撤去したらもったいないから置いてるのかな。最近行った講師の研究室、吸殻で山盛りの灰皿ありましたからね。みんな自分の部屋では吸ってるわけです。タイトルが欲しかったんでしょうね。流行りの喫煙排斥運動に乗っている大学です!っていう。
 じゃあキチンと反論して、おかしいことだから止めよう、とは例によって全く思わない。自縄自縛している大衆の諸運動について、俺は反感をそれほど覚えず、むしろ「うわ〜そんなことするんや。これどっかの誰かがいよいよキレて暴れだすんちゃうか。ハハ、次は何ですか?」って感じで、少し面白く思っているので、どこまで行くのか楽しみというだけのことです。