厠にて

 皆さん、今私はトイレの中から便をしながらこの文章を記述しています。それがいずれの種類なのかについては秘匿しますが、このような試みを執り行おうという意図から察すれば、おおよその読者諸賢には丸バレであるように思います。と、この程度の前置きで既に、変換不可能だったので一字ずつ変えた単語がありましてそれはショケンというやつです。辞書のデータベースが残念です。文字が打ちづらいという制約だけでなく、かような点からもインタフェースとして失格であり、到底オートマティスムと呼べるような筆記ではなくなっています。
 ところで俺はウォシュレットなしではなかなか排便に臨めないタチなのですが、一人暮らしを始めてからは不可避となり、「キェー」という心境を幾度となく味わってきました。それで苦肉の策として編み出したのが、トイレ後の即風呂です。けつだけでなく全身を洗浄することで平和な世界に飛び立とうという腹です。なのでこうして記事を書いている間にも、風呂は沸かされており、今はその待ち時間というわけです。効率的な時間の使い方、のように見えて実はそうでもなく、ここでは本でも読んで、後でパソコンの前でキーボードを叩いて書いた方がいいのは明白です。しかしまあ、ヴィトゲンシュタインが、思考は言語に規定されるというようなことを言っていましたが、書く手段にも規定されそうです。ホント、キーボードの書きやすさは尋常ではないね。ふう。なんか表層的なことを確認しただけで風呂が沸いてしまった。時間がかかる。携帯をいじる以外に何もできない、というような極めて制約的状況にのみ利用しよう。と思いました。