電車の中から。田舎の夜の駅のホームというのは奇妙だ。人は多いのだがそれがかえって不自然だ。特に今は、雨が降り続いている。遠くで車のタイヤが地面に水をすりこむ音が響いて、前景化した人々のざわめきを補填している。この状況は、定型化していないレアな場面に思えて、落ち着かない。ちょうど、災害か何かに遭って放り出されてしまった人々が、仕方なく群れを成して、テンプレでない、いちいちハッとさせるような非日常的な行動や言動をしようとするので、落ち着かないといった雰囲気だ。実際に人々がしているのはテンプレもいいとこの雑談なんだけどね。今俺が心配しているのは友人がちゃんと駅で待っているかだ。