失踪ほりでー

失踪HOLIDAY (角川スニーカー文庫)

失踪HOLIDAY (角川スニーカー文庫)

 乙一が2000年12月に上梓した「失踪HOLIDAY」を発売日から並んで昨日、やっと買えました。嘘だ。借りてさっき読み終わった。実に面白くて有意義な時間を過ごせた。数時間で一冊を読み切ってしまうなんて今までになかった。飽き性なのですぐにしおりを挟・・・もうとしてしおりがなく、コンビニでもらえる割り箸の包装を挟んでしまうような野郎だったのだが、今回はしおり要らずだった。単に、細切れの余暇しかない真っ当な人間と違って、まとまった空白だらけの気楽な身の上だというだけのことかもしれないが。この本には二篇の短編が入っていて、「子猫のあれ」(あとがきより)という作品と表題作の「失踪HOLIDAY」だ。両方とも、ホラーっていうかオカルトのような風で、そんなことが起こるんだったらもう何でもアリやないかと言いたくなる気持ちをグッと抑えさせる局所的ファンタジーでもあり、早い展開をひたすらに欲してもういっそ読み飛ばしてやろうかいやいやもったいないと思わせるミステリのような、何とも言い切れない分野の横断を感じ、ライトノベルの読みやすさも秘めていて一体これは何なんだね。素晴らしい作品だ。西尾維新に対しても思ったことだが、なんで彼らは気軽にチョチョッと書いた風なことをあとがきに書くのだろう。かつては「作家先生は偉いなあ」で済んだのだろうが、作家志望かぶれが跳梁跋扈する現代においては、自分の凡庸っぷりを明らかにされて悲しくなったケースが多いのではないか。俺はちょっとショックである。つっても、西尾維新は「楽しんで書けました」というようなことを、乙一は「タイトルがカッコよくキマって、キャラとかは後付です」というようなことをあとがきで言っているだけで、別にチョチョッと片手間に書いたようなことは全く仰ってないんだけどね。ウエーン、ウエーン。じき、別の作品の読破に取り掛かります。
 余談だが、エヴァンゲリオン最後のシ者を打って昨日12000円負け、今日35000円勝ちました。やったーやったー! こんなのいつまでも続かんよね。研究でもしないと。