やよい

 言葉を紡ぐことこそが前に進むことだ。デスクワーク風情の者からしたらそう言うほかない。生命体の大きな目的、それはやはり自身の情報の伝達だと思うんです。子孫を残すというのは、自分の形を、有限時間後に少し残すこと。so-fiが言うように、100年後の化石の中に残るのは、今日焼いたサンマの骨なんでしょうね。そうしたって、俺のような者が残せるものは、子孫じゃないですよ。そういう磁場にいないから。だったら何だって言ったら、マジで今日焼いたサンマの骨ぐらいしかないわけですよ。俺が食んだっていう、その程度の爪跡しか残せない。これが偉大な政治家だったら、そいつの創った制度とかが、すげー長い歴史の上をわたりあるいて、まんまと遺る。たとえば消費税を導入した元首の爪跡は今も色濃く残っている。忘我の民にああだこおだ言われて、存続している。それが有限時間内でしかないから、その有限時間+1以降には結局、爪跡消失。という議論はいいんだ。そいつの知覚は、さらに短い有限時間内であるところの、そいつの生涯に閉じているから。噛み砕いて言うと、そいつが持つ煩悩のひとつ、「何かを遺したい欲望」。その欲望が満ちるのは、そいつが生きている間に、「ああ、これで、未来永劫に等しいくらいに俺の意図が、俺の行動が、世界に遺る」と確信する時。でもそれを知覚するのは、そいつの生涯において、そいつの生涯からせいぜい想像できるスケールの「未来永劫」の間。それは決して永遠じゃない。無限じゃない。人間は、無限という概念を定義することはできても、体感することはできん。だから、そいつが未来永劫だと思っても、それはそいつのちっせえ物差しで、永劫を誤認したに過ぎない。だから無限じゃないじゃん。という議論は俺は却下したいということ。人間なりのスケールで、そいつなりのスケールで、そいつの心が満ちればいいのである。だって無限はないからさ。永劫はないからさ。実質。要はクスリでパッパラピーになれば、ぜんぶ解決なんだよなあ。酔ってるんですけど、大丈夫すか? 俺はいつもクリアサのロング缶3本ですべての酒宴を終えるのですが、今日はさらに追加のウイスキーまで行って、なお、眠気が来ないので、いつものように管巻きバプスススですよ。ブログのタイトル、忘れちゃったい。酔った時にしかしないこと。掃き溜めみてえになっちゃってっけどよ。こういうシーンは、必要だと思うんだよ。だって、言葉を紡ぐことでしか俺は、遺せないんだもんよ。
 ふと、自分と何の接続もないような、匿名の媒体で、こういうことをしてみようって思うことはある。つまりそれは、はてなの匿名ダイアリーのような欲望だ。俺は、はてな匿名ダイアリーを軽蔑している。記名せず、あえて記名せず、ネットのハンドルさえも記名せず、放言する、そんな空間が、尊いわけがない。塵芥。消えろ。という感情を、俺は厳然と持っている。しかし、その欲望も十分に理解できるんだ。それを知った。俺は、その軽蔑の気持ちから、自分の情報を過剰にネット上のアドレスに接続している。自分の実名は出さずとも、自分の時間を十分に、リアルよりも深くコミットさせて構築した自分の仮想人格は、何より確かだし、そこにすべてを集約することを、覚悟としてきた。噛み砕いて言うと、俺にはネットでやってること以上のリアルなんてほとんどないし、そこに「Revin」という名前を用いてすべて接続することで、矜持を保っている。逃げも隠れもしないぞと。それは、実名とか住所という、それがバレたら、いやがらせを全通しするだけのセキュリティホールみてえなレイヤー以外のすべてを賭けているという矜持だ。しかし、それが肥大しすぎていて、俺は家庭環境やら学歴やら職歴やらもほとんどみんな公開情報になってしまっている。けっこう生臭いレベルで明らかになっている。そしてそこからいろいろと実益を得ている。たとえば、暇な時にゲームやってりゃ、誰か寄ってくるような、ブロードキャスト環境が常に横にあるとか。たとえば、ささやかなアフィリエイト収入やら。欲しいものリスト経由の贈与や、仕事や、生きがいや。これは、どうしても、ブランドイメージみたいなものはあって、たとえば俺がリアルに前科あるとするじゃないですか。それを開陳したとしたら、どうですか。前述したどれか、おかしなことになるでしょ。今んとこ前科ねえけどね? 念のため。そういう、享受してるもんと、あんまり接続したくねえってものは、どうしてもやっぱ出てくるんだよなあ。でも、そういう込み入った事情をつぶさに書きてえって欲望が掻き立てられる瞬間ってのもあるよ。やんねえけど。匿名ダイアリーってのは、そういうところに寄生してるんだろうねえ。その欲望は理解できてしまうんだよなあ。
 で、この欲望ってのが根ざすところはね、1行目の話にも関わってくるんだよ。これ、今、まだ3行目だってよ。つまり2つ前の段落で巻いた話のことね。遺したいもの。俺は、作家志望なんて揶揄されたこともあって、今でいうところのワナビ、という状態で20代前半を過ごした経緯がありましてね。それで、売文に憧れたこともありながら今はナリを潜めましたが、というか、自分の生涯のこうした懊悩には、「注目されるべき価値がある」、という風に考えていたんですよ。つまり、俺が感じている悲しさとか、喪失感とか、無念とかは、純文学よろしく、注目してもらえばきっと面白くて、討論されてしかるべきであり、それを小説やら何やらで形にして、上梓すれば、間違いなく重要であると、思い込んでいたことがあったんです。で、それは歳をそれなりに減ると、俺のそのブースは、別に傑作を出し物にしてないし、例えば苦境感ではブラック企業に勤めて自殺に至る人とは比べものにならないぐらい平穏としているし、親がギャンブル狂で離婚してDVで、みてえな家庭に比べればいくぶんまだマシな環境で生育してきているし、そんなに大したことないわけですよ。んでもって、別に俺より知能が高い人はけっこうな数いるから、例えば俺が考えつくようなことって、ほとんどがどっかの人が既に考えついてるわけっすよ。俺とかより、レディ・ガガの方が面白いんすよ。でもレディ・ガガにあんまり傾倒せずに、今の俺に傾倒してる人って、すげー低確率を撃ちぬいて、数奇にここにいるんすよ……。なんかよー分からん確率を引いたんです、あなたがたは。
 そういう意識になっちゃってしまうと、もう別に何も吟じないですよ。なんかよーわからん俺という落とし穴にハマった人が、抜け出せずにいるだけで、そのことを俺自身が分かってしまったら、まあ、ゆるくレディ・ガガみたいな人を軽く指差して、あっちでもいいんじゃないの……? みたいなことを小声でつぶやきながら、それでもアンタ、ここにいるんなら、演るけど。ぐらいのモチベーションで、事を成しているだけですよ。日陰だから、そんなもんですよ。
 まあ……。ほんと、どうでもいいっすよ。死ぬほど物食うし。酒飲んでる時、死ぬほど物食うし。太ったらええねん。見た目など知ったことかよ。糖質なんざ1日1kgに制限じゃい! んで別に死期が迫ったらそれでええやないか。俺の意識以外、何もないんじゃ。ボケが。ほら、これで俺が出会ってなんかいないことが証明されたでしょ? そんなことになってないから。これ、俺の真に迫ってる感じで、完全に確信してほしい。お前ら、なんか配信とかニコ生とかやってるやつなんか、裏であんじょうやってるんやろ、みたいなことを信じてやまないやろ? そんな面従腹背のベロ出してるやつに、こんな言葉、紡げます? 俺だけは本物であると、確信しなければならないだろ!
 はよiphone se届けや!